マイナス金利とJ-REIT

いつになく先物市場で12時22分の戦いが盛り上がっていると思ったらこれです。さすがに日銀と言えども民間銀行に何の打診もなくマイナス金利に踏み切ることはできなかったということなんでしょう。会見の黒田さんがいつになくふわふわと無責任感な雰囲気が強かったのは自分がやりたくてやったわけじゃないからなのかぶーたれているのか、もう自分に責任が負える範囲を超えたと吹っ切れたのか、(普通の人には見えないところで)言いだしっぺが自分じゃないから今後の責任は取らなくて良いことに安堵しているかならなのか、実は替え玉なのか。inzaiです、こんにんわ。なお私は24分に日経がリークしたときは(と言っても既に似た話は報道されてましたが)笑ってました。その後は地獄でした。いや歴史的瞬間に立ち会えたわけですから考えようによっては天国か。

マイナス金利の詳細については色々と考察も出てますので省略しますけども、極一部とはいえキャッシュというか余剰資金の価値が日本の歴史上、類を見ないほど低下していることになります。余剰資金が不要ということはすなわちお金が余っている。でも、日銀は追加緩和の継続でこれからもお金をジャブジャブにしてきます。2011年以降、お金が余って余ってがしょーがねーなー、ちょっとくらい投資したり、賃金に回したりするかーと会社や個人が考えを切り替える水準をずっーっと模索しています。

従来、経済主体はお金を使いたくても使えない存在であったのに、現状に満足し、将来に悲観した結果、国民が縮小経済を選び、資産の保有リターンがマイナスというリスクリターン的にはどうしようもない状態になったので、それを何とかしようと日銀だけが頑張っております。社会構造的には既得権益の膨張と身分の不安定化という歴史上、幾度となく繰り返されてきた経済の破たん要因が顕在化しているだけです。それに対して、一番手っ取り早く社会の摩擦を起こさず実行できる金融政策がフル活動しているといこうことです。

構造改革が進むことに加えて日本の国債利払いが減ることで財政健全化の道筋が明確になることを淡く期待してますが、今まで出来なかったことに今更期待するのは非合理ですし、世の中の流れに逆らって勝てる投資なんてのは私には出来ません。綺麗ごとで良いなら「人だって財産なんだから、賃上げはコストではなくて将来への投資と考えるべき」と声高にアピールしたいですが、一部の少数精鋭で頑張っている企業にのみ可能な判断であり、普通の会社はやっぱり8割は働かないアリなので無理です。

個人的には、今できることは緩和に乗じた資産の蓄積くらいかなと思ってます。どうやってマイナス金利から自分の資産を守るかよりもどうやって増やすか。国債利回りが0.3%から0.15%に下がってもたかだか-0.15%ですが、支払実額からすると半額になるわけなんで、今更レバレッジをかける気はありませんが、取れるリスクは取ってもいいかなと。要は今まで通りリスク分散しながら粛々とやっていこうかなと。ここでレバレッジかけられるなら既にかけているという話。

ついにマイナス金利への扉が開いたとはいえ、そこでは欧州の国々か苦しい顔して奮闘しています。ドイツ、フランス、オランダ、スウェーデンは5年債までマイナス金利に突っ込んでおり、スイスは10年債までマイナスです。欧州では当初こそ株高、景気改善が確認されたものの歴史上の実験だったマイナス金利政策の効果が薄れており、マイナス金利の長期化を織り込む局面に入っております。テロとかで外部環境が悪化した?そんなこと言ったら2014年はディストレスの処分が一気に進んだことで効果あっただけでそもそも普通の経済状態ではマイナス金利は効かないかもしれませんよ。答えの出ない議論はともかくとして、そういう意味では株価も負債コストもある程度はトラックレコードがあります。論理的にも実証的にも考えることは沢山できます。

J-REITは1月31日に不動産セクターの10%に続いて5.6%と久々の大幅上昇。2010年以降だと5番目だが6番目くらいの記録です。リバウンドじゃない上昇という意味では一番かもしれません。

興味深いことに(ただの偶然とも言いますが)NBFの終値は622,000円。これは2014年のハロウィン緩和の終値とまったく同一です。翌11月4日の寄りは659,000円で、終値は609,000円。この寄り値はバーナンキショック前の大幅上昇相場で記録して以来の最高値で、NBFにとっては不名誉な3年間の証でもあります。

では他の銘柄の2014年10月末対比の株価はこんな感じ。イオンはPO発表で急落、物流リートは2015年後半からボロボロなので下位に来るのは分かりますが、エクセレントや東急リートが下位でこんな数字なのはハロウィンに大きく上昇してたから?最近調子良かったのでもっと上かと思っておりまいた。

一方でホテル、プレミア、MCUBSが上位なのはそもそも2015年のパフォーマンスがとても良かったのでさもありなん。リテール、アクティビアは昨年12月から好調なので分かります。グローバルワンとかアコモが記憶ありません。あのとき既にアコモは見切られてましたっけ?

なんしかマイナス金利は不動産にはプラスです。負債コスト、不動産のバリュエーション、投資家の要求利回り、すべてがプラスに働きます。いま不動産を所有している個人が一度は転売を経験するくらいまでバブルになってくれるといいなあ。うちのマンションも1億円なら売ってもいいです。

ただ過度な期待は禁物です。追加緩和がなく900億円のままだからなんて話ではなく、不動産業にはもうそんなに実弾回ってこないのではないかなあという気がします。預金金利がマイナスにならない限り個人のお金はまだ動かないでしょうし、REITや不動産が預金の代わりになるとは思えないし、長短金利がこれだけ潰れている日本でマイナス金利に突入したからと言って不動産の利回りがあと1%も潰れるとは思えないんですがどうなんでしょう。NBFの利回りは2.55%でこれが2%まで突っ込むのか。インデックスの利回りが3.5%でこれが3%まで突っ込むのか。どちらかいうと後者はありそうな気もします。ファンダメンタルズがついてこないなかでどこまでいけるかなあ。でも不動産バブルは期待してます。

個人的には短期的にはペイオフ減額とふるさと納税の拡大(ダイレクトに地方にお金流せるのは大きい)、長期的には401kの拡大と多様化(インフラファンドとかね)、年金の減額と支払開始の早期化、延命治療の任意化と不妊治療の補助拡大あたりのロードマップを示してほしいなあ。いま年末に出版された日本‐呪縛の構図って本を読んでますが、アメリカ人にとって問題点と解決策が自明でも動かない日本人の脳味噌ほど不可解なものはないとか書かれてます。MSの元エコノミストも同じこと言ってましたな。この本、一文一文が練り込まれていて重いですけどこういう文章書きたいなあ。

3283 日本プロロジスリート投資法人 -17.4%
3296 日本リート投資法人 -14.8%
3292 イオンリート投資法人 -11.3%
8987 ジャパンエクセレント投資法人 -9.2%
8966 平和不動産リート投資法人 -9.0%
8957 東急リアル・エステート投資法人 -8.5%
8979 スターツプロシード投資法人 -7.1%
3263 大和ハウスリート投資法人 -6.9%
3281 GLP投資法人 -6.8%
8960 ユナイテッド・アーバン投資法人 -6.1%
8973 積水ハウス・SIレジデンシャル投資法人 -5.6%
8982 トップリート投資法人 -5.5%
8968 福岡リート投資法人 -5.5%
8964 フロンティア不動産投資法人 -4.7%
3278 ケネディクス・レジデンシャル投資法人 -4.4%
8967 日本ロジスティクスファンド投資法人 -4.3%
3234 森ヒルズリート投資法人 -2.6%
3269 アドバンス・レジデンス投資法人 -0.3%
8951 日本ビルファンド投資法人 0.0%
8961 森トラスト総合リート投資法人 0.4%
3298 インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人 2.0%
8977 阪急リート投資法人 2.5%
8972 ケネディクス・オフィス投資法人 2.9%
3282 コンフォリア・レジデンシャル投資法人 3.9%
3295 ヒューリックリート投資法人 4.8%
8952 ジャパンリアルエステイト投資法人 4.9%
8984 大和ハウス・レジデンシャル投資法人 5.1%
8986 日本賃貸住宅投資法人 5.3%
8955 日本プライムリアルティ投資法人 5.5%
8975 いちごオフィスリート投資法人 6.2%
3226 日本アコモデーションファンド投資法人 6.3%
3287 星野リゾート・リート投資法人 6.4%
3290 SIA不動産投資法人 6.8%
8954 オリックス不動産投資法人 13.4%
8953 日本リテールファンド投資法人 13.9%
8976 大和証券オフィス投資法人 15.8%
3279 アクティビア・プロパティーズ投資法人 19.5%
8958 グローバル・ワン不動産投資法人 23.0%
3249 産業ファンド投資法人 23.5%
3227 MCUBS MidCity投資法人 27.2%
8985 ジャパン・ホテル・リート投資法人 32.6%
8956 プレミア投資法人 37.4%
8963 インヴィンシブル投資法人 93.2%

記録なし。
3309 積水ハウス・リート投資法人
3451 トーセイ・リート投資法人
3308 日本ヘルスケア投資法人
3453 ケネディクス商業リート投資法人
3455 ヘルスケア&メディカル投資法人
3459 サムティ・レジデンシャル投資法人
3460 ジャパン・シニアリビング投資法人
3462 野村不動産マスターファンド投資法人
3463 いちごホテルリート投資法人