J-REIT分析(全体編) 2020年3月13日(修正あり)

久々にクラッシュ来ましたね!inzaiです、こんにちは。J-REITが上昇基調の時、特に割高感がある時は適当なことしか書かないことで評判の当ブログ。東証REIT指数の利回りが4%に乗ってきた3月9日ですら「大型銘柄は全然調整足りない」ってのは本音でしたがここまで来ると逆張り心に火が付いてきます。嫁さんが外出してる1時間でどこまで書けるか。

まず今の状況を整理します。13日の東証REIT指数の終値は1596.30ptで日銀がJ-REITを年間900億円買い始めてからの安値水準。13日の日中安値1478.49ptは2013年4月に日銀が年間300億円買い始めてバーナンキショックを乗り越えてからの安値水準で正に「何もなかったところまで戻ってきた水準」です。ざっくりとしたテクニカルな考え方でも「さすがにいいところまで来たよね」という感じがあります。

ではバリュエーションではどうなのか。分配金利回り4.8%は2012年後半の水準で東証REIT指数は1000ptをやっと超えた時の水準。1000pt強の時代と1600ptの今で分配金利回り水準が同じと言うことは、言い換えると2012年から2020年までにJ-REITの利益水準は1.5倍まで成長したということになります。もし皆さんがバリュエーションを真面目に考えたいというのであれば、外部成長寄与はさておき、少なくとも稼働率、賃料水準、そして各REITの支払金利がどの程度変わったのか、どのくらいストレスをかけるべきか検討する必要があります。

一例を挙げると、JREの2019年9月期は賃貸収入335億円に対し金利支払は10.7億円。2012年9月期は賃貸収入は214億円に対し18.3億円。賃貸収入1.5倍になってるのに支払金利は半分強。こんな事例がゴロゴロしているので真面目にストレスをかけようと思うと大変です。そして稼働率もただでさえ歴史的高水準かつFRもピーク時に比べると半減どころか1/3になってますので、一体どうすれば良いのか悩ましいところです。

個人的にはP/NAVを全く気にしてません。鑑定評価は遅効性が大きいので節目節目では効きにくいですし、歴史的に見るとP/NAV1倍で投資口価格のトレンドが変化したなんてことはほとんどないので、強いてP/NAV倍率で意識してるとしたら1.25倍以上で割高、0.8倍以下で割安、というかちょっと投資口価格の動きが変わる、売買フローの質が変わってくると言ったところでしょうか。1450pt以下なら誰が計算しても0.8倍以下になるでしょう。もちろんアベノミクス以降の鑑定評価額の改善が確実視される中でのP/NAV0.8倍と鑑定評価額の下落が懸念される0.8倍では違いますし、リーマンショック後の下落相場では悲観した見方からP/NAV倍率は0.6倍まで低下した時期もありました。

マクロ面では、コロナによる経済停滞&構造不況の具現化、米国大統領選の行方、BREXITでどうなるのか、そしてそもそも金融政策も財政政策も出来ること少なくね?と言った不安もありますが、ぶっちゃけ金融政策、財政政策拡張で赤字拡大!危険!と言ってるのは平時のプロレスであり、不況時の財政拡張は効きます。なんだかんだ言っても官僚が本気で政策考えると効果あります。先行き不透明感は正直かなり強いけどもこのジャブジャブでさらにお金回せば不動産回りには間違いなくプラス。

リスクとしては、株式市場のみならず債券市場、金利市場が大混乱していること。今回は実体経済に影響あっても短期市場は大丈夫かなーと思ってたのですが週後半からガタガタしてきました。金曜日はFEDの資金供給で一段落しかけてますが、見えないところでガンガンにレバレッジかけるプレーヤーがいるので彼らからお金が抜けるとジリジリ悪化する展開がある。ああいうファンドって日次で流動性提供してないので解約完了まで時間かかるんですよね。で、マーケットからお金が抜けて株式や債券の利回りが高くなれば投資家はああいうファンドに投資する必要がないのでさらにお金引き上げます。そうするとさらに債券、金利市場が壊れてさらにお金が抜けていく。なんというマッチポンプ。LTCMが代表的な事例ですが、今は規制で厳しくなった銀行のプロップがファンド立ち上げてああいうのがゾロゾロしているのでそこはちょっと怖い。

CLOは言われてるほどは危険はない。ゆるゆるだったクレジット市場も1年くらい前から少しだけ、ほんの少しだけ規律が戻ってきていたこともあり手遅れにはならないんじゃないかなー、ひょっとしたら逃げ遅れていた連中が一気に逃げる可能性もありますが、まだ比較的冷静なアセットクラス。

そういうのをガラガラポンするとJ-REITは1400pt割れと言わずともこの辺りで十分に魅力的かなと。不動産は右肩上がりだから低イールドでも許容されていたバリュエーションが厳しくなるってのはあると思います。ただ、これから不況に突っ込むと事業法人もファンドもますます不動産しか投資できませんからね。

嫁さんが雨のせいで30分で帰宅しました。個別銘柄編は後で!久々にオヌヌメランキング作る予定です。