J-REIT分析 2012年10月28日①(8951-8966)

そろそろマーケットも佳境かもしれないので、ここらで久々のJ-REIT分析の更新です。コメントを一から書いているのでさすがに大変。ちなみに以前のコメントを見ずに今の印象を綴っているので、どうしても個別REITの概要への言及が多いです。細かい表現の違いもありますが、決定会合やFOMCじゃないので特に意味はありません。頻繁に更新するようになれば(私の頭のテンパリ具合によりますが)、またタイムリーなコメントが増えていくと思います。

ちなみにオヌヌメコメントがなくなったのは上昇相場入りで中期サイクルとして仕込み時は終わったと判断したからです。1050ptまで上昇している相場のことを考えると1000ptでもまだ仕込み時だったじゃないかと言われるとそうなんですが、とにかく絶対的なバリュエーションで安いものだけを拾うのが自分のやり方ですので。そういう意味では8月のグローバルワンも配当金を上方修正したので間違ってはないと思うのですが、株価伸びませんね。なんでだろ。大手町ファーストスクエアの空室率がさらに上がりそうですし、やっぱスフィアタワーのネットワンですかね。

では、REITのコメント一覧です。数字は金曜の株価と予想配当利回りです。とりあえず平和不動産リートまで。嫁が変なこと言って来ない限り、6時くらいにまたアップします。ちょっと鬼畜王ランスやりたくなってきたので。

8951 日本ビルファンド投資法人 842,000 3.63%  三井不動産がメインスポンサーのオフィスREIT。資産規模は日本最大のJ-REITで稼働率の安定感は抜群。物件のクオリティも三井不動産が保有するものには敵わないものの、それでもやっぱり三井らしいプライドが感じられる(全部が全部とは言わないが)。足元、配当金の水準は何とか横ばいを維持。思ったよりも不況期にバーゲンセールできなかった点はちょっと残念。LTVはかなり上昇しており次のPOは12月~2月か。

8952 ジャパンリアルエステイト投資法人 795,000 3.82%  良くも悪くも三菱地所らしさを存分に発揮している日本第2位のオフィスREIT。社長は控えめですが、保有物件やリーシングから漂う俺様感にマーケットはしばしば翻弄される。物件のクオリティではNBFには負けてないし、他のREITとはそれこそ段違い。目先は悪材料出尽くしで、その分はしっかり織り込んでいると思う。公募増資終わって一安心も利回り4%割れはまあ買い場とは言えない。

8953 日本リテールファンド投資法人 142,300 5.43%  三菱商事の商業特化型REIT。65%が郊外型(ショッピングモールとか大型スーパー)で35%は都市型(繁華街の路面店舗とか商業ビル)。何をしでかすか分からない時期は過ぎて、イオンREIT上場までは安定期といったところ。イオンが資金調達手法を手に入れたと言っても、いきなりオーナーに三行半を叩きつけるとは思わないが、「ちょっと業績悪いから賃料を中心にゴリゴリ交渉するよ」って雰囲気がちと怖し。

8954 オリックス不動産投資法人 402,000 5.47%  絶賛テコ入れ中のオフィス中心の総合型REIT。金融緩和期でオリックス本体からの重圧は少ない点は安心だが、配当金を安定させるためにはポートフォリオの入れ替えはまだ続けないと厳しいかも。直近の決算は底入れ確認でOK。数字の成長の割には力強い言葉に欠ける点がちょっと不安。

8955 日本プライムリアルティ投資法人 238,200 5.04%  東京建物系のオフィスREIT(ちょっと商業とかも保有)。みずほFG本店となる大手町の土地を取得してマーケットの評価は「主要オフィスREITの一角」からちょっと抜けた感じ。配当金6000円の死守を標榜しており、そこまで無茶な目標ではないと思ふ。

8956 プレミア投資法人 302,500 6.43% NTT都市開発、KENコーポ(高級住宅の業界最大手の一角)を中心としたオフィス/住宅REIT。マーケットの成長はNTT都市開発のオフィス、安定収益は住宅からという素晴らしいバランス感覚のREITだったはずが、2流オフィスが大きく足を引っ張って評価いま一つ。もうちょっとNTTが分かりやすくテコ入れしてくれると期待してたのだが。

8957 東急リアル・エステート投資法人 426,000 5.31%  東急電鉄がスポンサーのオフィス/商業REIT。マーケットサイクルを考えるとオフィスと商業の相関性が低い(商業が先行して動く)ことが安定配当に繋がるはずだったが、「東急電鉄なら賃料高くても維持できる」という見込みが甘すぎた。マーケットの絶頂期に取得したオフィスを減損懸念で手放すなど、理論派なんだけど色々と惜しいREIT。開示内容(量)はREITダントツ。多すぎてどこ見たらいいのか分かんない。

8958 グローバル・ワン不動産投資法人 489,000 5.24% 明治安田、三菱、近鉄、そして最近森ビルがスポンサーの仲間入りしたオフィスREIT。ワンマン社長の下、近・新・大を標榜するREIT。「狭い日本じゃ分散しても効果ないよ」と言ったとか言わないとか、とにかく物件数、テナントが少ないのでここ数年は業績が安定しない。鑑定評価ベースでは一番売り込まれている。淀屋橋フレックスタワーの日本生命も大阪拠点の集約に乗り出しており(今の本社の横で再開発)これまた不安材料。

8959 野村不動産オフィスファンド投資法人 510,000 4.82%  野村不動産をスポンサーとするオフィスREIT(名前のまんま)。物件を見ると財閥系不動産会社との差を痛感する。永遠の2番手グループなんだろうなあ。古い物件が多いものの、スポンサーが中小型のPMOシリーズをガンガン開発しており、上手く物件を入れ替えてくれることを心から所望。頼むから私募REIT優遇とか辞めてほしい(REITがPOできないからって)。先週末で配当落ちしており、価格推移に注目。ギリギリまで買いこんでる人がいたからなあ。

8960 ユナイテッド・アーバン投資法人 97,400 5.65%  丸紅系の総合型REIT。負ののれんもあって、金利コストの削減余地もまだまだあるのに、オフィスセクターが不安でマーケットの評価が定まらない。でもマーケットが暖まると一気に上昇する。11月配当落ちだしね。中期的なレンジで大きく動く銘柄なのでじっくりじっくり。どこかに落とし穴ありそうと思わなくはないが。そういえば前回の大型POからはや1年半か。。

8961 森トラスト総合リート投資法人 730,000 5.04%  大手だけど非上場なんで分かりにくい森トラストがスポンサーのオフィス中心のREIT。不動産会社の格としては東京建物や森ビルより上なんだと思ってます。ソフトバンクの本社とコンラッドが入る汐留ビルはREIT随一のオフィスビル。200億円の三田のビルから日立系が抜けることがリリースされた後に色々な噂が憶測がありましたが(隣地と開発するために森トラストが買い取って、また大きなビルを取得するとか)、LTVを活用してマーケットから地道にビルを買い集めました。ちょっと残念。あまりファイナンスには前向きではなかったけど、いつでもなんでも出来るREIT。

8963 インヴィンシブル投資法人 6,400 3.30%  紆余曲折を経た独立系のREIT。この前、バルクで物件を取得してましたが、まあ何がしたいのかよく分かりません。

8964 フロンティア不動産投資法人 707,000 5.09%  三井不動産の商業REIT。最近ちょっと神通力が落ちている印象が強い。博多の物件を高値で取得したり、アウトレットの自社競合で売上が伸び悩んだり。数字の帳尻合わせは抜群なので何の心配もしてませんが、昔ほど「ほっといても良いや感」はなく。それを考慮しても一時期はちょっと売られ過ぎでしたが。

8966 平和不動産リート投資法人 56,400 5.53%  スポンサーである平和不動産が大口株主であるファンドから投資口取得をリリースしてから上がりっぱなりのオフィス/住宅REIT。プレミアと良く似たREITなんで限界はあると思いますが、負ののれんを考慮してもちょっと安く放置され過ぎた感が強い。合併銘柄の中では一番にリストラ完了したREITでオフィスのグレードはいまいちではあるものの、配当金の水準は安定しているんじゃないかと。