日経ヴェリタスが取り上げた住友信託のレポートとYahooニュースの東洋経済の記事。
端的に行ってしまえば、2012年のオフィス供給量は2003年に次ぐ量となり、オフィスの市況悪化を招くというもの。容積率のボーナスとか二次空室とかちょっと違うスパイスを効かせているが、投資家からすれば素材は一緒。
そして結論から言えば、マーケットはある程度織り込んでいると思います。
というかそんな問題は2010年から分かっていることで、年初からのデベロッパーとオフィスREITの株価が急上昇したのは複数のアナリストが「2012年問題は5月、6月で空室ピークを迎える」と声高にアピールしたことが、外的環境と相まったもの。
2003年問題のように「杞憂」で終わることはないと思いますが、今から「もうオフィス市況は最悪だ」と悲観する人は珍しいというか記事にするのも恥ずかしいのが業界としての認識でしょう。
しかも2013年、2014年の供給予定量は過去平均の7割程度に減少するので、2012年だけを見るのはミスリード。しかも、供給量の7割以上は「既存ビルの建て替え」なんで、「減って増える」です。純増ではない。
まあ私は秋から織り込み始めたものの、ちょっと早過ぎたと反省しております。
ただ、ここから先ちょっとややこしいのは、マーケットが織り込み過ぎてんじゃないかということ。絶対に5月、6月にピークを打つを言わんばかりに上昇しているが、ちょっとそれは楽観的じゃないかと。
ファイナンスがゆるゆるなので想定以上に新規ビルのリーシングが慎重なこと、2014年、2015年はちょっとアクセルかかり気味なことを考えると、次の○○問題が出てくるまでイケイケになるのは甘い。三鬼商事やCBREの予想がそうなってるといえばそうなんですが、まだ怖い。
結論だけ言えば私も「オフィス供給不安があるからまだ慎重に」なんですが、2012年を懸念するのかその先を懸念するのかで、臨機応変のスタンスが大きく異なってきます。
2012年が思ったより固いならマーケットは回転効き始めるので激しくイケイケ、空室が10%超えてくるならもう数年は慎重にのスタンスで行こうと思います。絶対に逆張りはしない。そんな年度末。