利回り4パー教の基礎講座

巷で信者を増やしつつあるという利回り4パー教。私も熱心な信者の一人です。

あなたは利回り4パー教を信じますか?

J-REITで安定配当を確保したいがどうも上手くいかない。

某経済新聞や株雑誌を読んで強気になったり弱気になったりして売買ばかりしてて利益が出ない。

そんな方には一度だけでも利回り4パー教の教えに耳と目を貸し、純粋に利回り4%を求める境地、そこから得られる安寧を僅かでも体験いただきたく思います。

 

ここからが本編です。

準備はよろしいでしょうか?

 

★利回り4パー教の縁起

利回り4パー教の基本理念かつ最終境地は「東証REIT指数の利回りは最終的に4%に収斂するという無我の境地(仏教用語で縁起と言います)に辿り着くこと」です。

4%に収斂する宗教的背景、学術的背景、歴史的背景は後ほど詳述しますが、俗的に述べてしまうと利回り3%は低すぎる、利回り5%は高すぎる、だから利回り4%に収斂する、これを信じられるかどうかです。

漠然と市場に向き合おうが、モデリングを極めようが、インサイダー取引をやってしまおうが、将来は誰にも分からない以上、投資家の悩みの源(仏教用語で無明と言います)は一つ。

結局、この価格水準は割高なの?割安なの?

それだけです。

いくら分析をして理論株価を算出しようが、ネットで情報を探そうが、自分の中で本当に信じられる軸がないと投資判断は出来ません。

利回り10%だから安いはず!と思っても、その価格水準が続くと「あれ?利回り10%があるべき価格なのでは?」と思ってしまうし、利回り3%は割高だ!と思っても「うーん、機関投資家も大量保有報告出しているし、これが適正水準なのかなあ」と思うのが人間です。

投資とは終わりなき旅です。自分で自分を信じられないと迷走してしまいます。正しく情報を集め、正しく判断したとしても、表層的な現実に引きずられて自分を見失う人は沢山います。

そうならないために、自分は何のために投資をしているのだ、何のために価格分析をしているのか、常に振り返る基準を設けることが重要です。

その唯一の救いとなるのが利回り4%です。

 

★利回り4パー教の諸行無常

いま皆さんの頭に浮かぶのは「東証REIT指数は本当に4%に収斂するのか?」という疑問だと思います。4%への収斂を縁起の終着地(仏教用語で涅槃と言います)と定めている以上はもっともな問いです。

それに対する利回り4パー教からの回答は一つ。

東証REIT指数の利回りが4パーに収斂し動かなくなる日は来ません。

は?とか、え?とか、ワロスwとか思うかもしれませんが、東証REIT指数の日々の値動き(表層的な姿、仏教用語でサンスカーラと言います)が涅槃の姿を現すことはありません。

もちろん、世界中の人間が利回り4パー教に基づく修行に取り組み、一切の疑いなく利回り4パー教の縁起を理解(悟りを開く)した時に利回り4パー教の涅槃が現れます。

しかし、皆さんに問うまでもなく世界中の人間が利回り4パー教を信じる状況にはなりません。世界は広く、とことん愚かです。たとえ世界中の人間が利回り4パー教に触れることがあったとしても、その95%は翌日に忘れてしまうでしょう。

真実の姿(仏教用語でアートマンと言います)は諸行無常であり、一切のサンスカーラは思い通りになりません(仏教用語で一切皆苦と言います)。なので、無理に利回り4パー教を広める必要はありません。自身が涅槃寂静の境地に辿り着いたのだから自分自身で存分に楽しめばいいではないですか(仏教用語で自受法楽と言います)。

それでも、限られた人にしか理解されない、あるいは誰にも理解されないかもしれませんが、それでも一人でも救われるなら利回り4パー教を布教する意味はあるかもしれない、それが利回り4パー教の始まりです(仏教で言う梵天勧請です)。

なので、利回りが4%に収斂しないなら利回り4パー教の意味がないというのは議論の入り口が違います。将来の利回り水準がどう変わるかは分かりません。それでも、利回り4%を軸として世界を見ることで救われる、利回り4%にその価値があるなら信じる意味があるのではないでしょうか。

 

★利回り4%という数値が持つ効用

基礎講座ですのでここはエッセンスだけに留めます。

経済リターン4%は永続的な成長において絶妙なバランスを持つ数字です。

受け売りの話もありますが、J-REITのトラックレコード、丸の内のキャップレート、賃料上昇を実現する空室率、インフラ株の税引き前リターンなどなど、いずれも4%が中立の数値です。3%では投資家が付いてこず、5%では永続性が保てない。

絶対的な理由はないのですが、私は人生のサイクルと密接な関係があると思います。

利回り4%だと単純利回りで元本回収までに25年を要します。人間の平均が20歳で社会人生活を始めると知的活動の限界である70歳までに元本を2回転できることになります。これが利回り3%だと最初の元本回収までに33年を要し、もう1回頑張る気にはなれない。逆に5%だと3回転目も可能となりますが、上手く行き過ぎてしまう。すなわち自身があるから利回り5%より低くても良いのではないかという世界の修正が働くのです。

え?何を言ってるか分からないですか?私も感覚的にしか把握してません。ただ、どんなに試行錯誤しても経済活動のリターンは4%でしか上手く行かないのです。

★利回り4%の真の意味

実はこの利回り4%を求めるというのが一番の難関です。

最も簡単なのは情報サイトを使って各REITの業績予想を時価総額で加重平均した利回りを使うことです。そうすると1920ptあたりでしょうか。

しかし、資本市場の世界では国毎に差異のある税引き後利回りを使うことも多いです。また、人生における望ましい経済リターンが4%であると考えるとこの考え方が最も相応しいとも言えます。そうすると源泉徴収税が約20%なので表面利回りは5%となり、ちょうど5/1現在の東証REIT指数が利回りの4パー教が定める「あるべき水準」とも言えます。

あるいは4%に収斂するという定義からすると、今の余剰資金がジャブジャブの状況から算定される業績予想を使うことに違和感を覚えます。となると利益水準が8%ほど低下し利回りが5%と考えると東証REIT指数1420ptが「あるべき水準」となります。逆に、LTVはもうちょっと高いからと考えると1400pt台後半が「あるべき水準」です。

このように、利回り4%が絶対唯一の数字だとしても、サンスカーラである東証REIT指数は揺れ動きます。

しかし、考えてみてください。4%という数字すら信じられないのであれば、あるべき東証REIT指数の水準はゼロ(昨今の流行りで言えばマイナスも)から無限大となり得ます。

これが一定のレンジまで絞り込めるのが現時点での利回り4パー教の最大の効用です。

すごく分かりやすい事例で言えば、利回り4パー教の定義ではどうやっても正当化できない狂った相場だったのが2019年夏以降の東証REIT指数が2000ptを超えた水準でした。利回り4パー教内にも様々な考え方があるのは既に記した通りですが、2000pt以上でJ-REITを取得したものは一人もいません(と私は信じています)。

どうでしょう?何かが開眼した気がしませんか?

そこまで来ればもう一息です。

この話を最初から読み直してください。自ずと明るい未来が開かれます。

なお、私は建前上は利回り5パー教を名乗っておりますが、それは既に述べた通り、税引後で4%の経済リターンが利回り4パー教のあるべき姿だと考えるからです。利回り4パー教なんだけど実は5パーなんだと説明すると混乱される恐れが高いため、便宜的に利回り5パー教を名乗っているに過ぎません。

主要参考文献:
ここにしかない原典最新研究による本当の仏教 第1巻 お釈迦さまはなぜ出家し、いかに覚ったか
本当の仏教〈第2巻〉―ここにしかない原典最新研究による
証券市場の真実―101年間の目撃録
負債論 貨幣と暴力の5000年
ISE Real Estate Finance & Investments
Historic Real Estate: Market Morality and the Politics of Preservation in the Early United States (Early American Studies) (English Edition)
不動産投資市場の研究