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そら、お茶も吹くわという話です。
でも、やってみとうと思った気持ちは何となく分かります。
ちゃんとした経歴を持ってる人が、自分には本質的に理解できない運用手法で安定した成績を残している。それがなおさら金融工学を活用した投資戦略だと言われると、疑問に思っていても何も言えない。それが金融業界というものです。
特にベテランの専門的な仕事をやってこなかった人ほど、知ったかぶりする傾向にあります。「数式で書かれると簡単なモデルすら理解できない」という負い目があるせいか、簡単な質問すらしないで分かったふりをする。モデルってのはどうしても「キメ」の部分もあるので、そこは詰める必要があるのですが、ずっと知ってるふりで通してきたから、勉強する機会もなかったんだろうなあと。
これから金融業界に入る方は認識いただきたいのですが、不思議なことに大企業より、中小企業の方がそういった傾向が強いです。大企業だと、1から自分で仕事を作り上げる必要がありますが、中小企業だと上から下まで「自分の責任で仕事をする」という文化がないように思います。
仕事やってると「絶対に大丈夫」なんて案件はないので、どこかでリスク取らなければならないのですが、そこに対するアプローチが「ロジカルに埋めていくのか」、「誰かがやってるから大丈夫か」と大きく分かれるのが金融機関の現状ではないかと。
もちろん会社の体力が違うから取れるリスクも違って当然ですが、金融業界の序列が決まってもう何十年過ぎているせいか、中小企業は最初から考えることを放棄してます。
「もの作りで地場の会社にキラリと光る技術が!」なんてことは、金融業界では皆無です。属人的な側面が強い運用業界はともかく、銀行、保険、その他金融機関では…。
そういう意味で、某年金コンサルがAIJの危険性についてコラムを書いていたと旨を張ってるようですが、ああいう書き方では「ロジカルには動かない」業界に何の影響もなく、年金基金が何の判断もできないことは分かっていたでしょう。
それでもネタを提供するのも彼らの仕事ですが、そこは敢えて切りこんで欲しかったなあと今となっては思います。最初から運用パフォーマンスを詐称しようと思っていた相手にどこまで切り込めるかというのは未知数ですが。。。
あと、どんなに素晴らしいパフォーマンスを残せたとしても完全に相手に理解してもらうのは難しいです。再現性のある手法なんてあるようでないわけで、自分だって10年後も安定したパフォーマンスを残せると言い切れる人がどれだけいるか。
世の中は変わるし、自分も変わる必要がある、そして今まではきっちり対応できたのだから、これからもきっと大丈夫だろう。本質的にはそういうことなので、結局、声が大きい、営業力の強い会社が生き残ってきたというのが今の運用業界なんだろうなあと。
運用基金が運用のプロじゃないことは散々既報ですが、運用のプロを自称するサラリーマンファンドマネージャーが自分の資産をバリバリ運用しているかと言われるとそうじゃないわけで、一般的な金融機関なんてもっと極端に預金しかしてないわけで(投信しか買えないしね)、欧米とは根本的にそこが違うんだよなあ、そこを変えないと何も変わらないなあというのが今の問題意識です。