最近は10時就寝、6時起床の超健康生活。着々とおじいちゃんへの道を歩んでいるinzaiです、おはようございます。
J-REITで初めてのTOBが発表されました。スターアジアによるさくら総合リートの買収。ほんとにさくら総合リートと合併したいか?という疑問はさておき、これまでの10ほどあるJ-REITの合併事例では運用会社、レンダー含めて関係者が合意の上で進めた案件しかなったのに対し、本件はそこそこガチの敵対買収に見えます。
とは言え、運用会社であるさくら不動産投資顧問の投資運用部長は2018年8月に着任しており、実はそれまではスターアジアの投資運用部長だった方です。何だか怪しいですね。不正競争防止法は大丈夫なんだろうか?
そんな色眼鏡はさておき、本件は、可能であるけど誰もやらんやろと思ってたスキーム。スターアジアがさくら総合リートの投資口の3%以上を保有し、その場合に認められる投資主総会招集権、1%の保有で認められる投資主提案権を行使し、資産運用委託契約を解約を請求するものです。仮にさくら総合リートが投資主総会の開催に応じない場合、内閣総理大臣の許可を得て招集することが出来ます。全て投信法に明記されております。
ただ、ここから先は良く分かりません。投資主総会にはみなし賛成という、投票しないなら賛成ねという制度があるのですが、これがどこまで適用されるのか。矛盾する議案がある場合はみなし賛成は適用されないのですが、さくら総合リートは解約不承認(現行契約の継続)の議案をカウンターでぶつけるのか、あるいは解約された場合に、スターアジア不動産投資顧問との新規契約にカウンターをぶつけるのか(この場合、さくら総合リートも資産運用契約を改善したものを提案できる)。まあそのあたりは弁護士さんが調整するのでしょう。最終結論としては、さくら総合リートは投資主の50%以上が個人投資家なので票読みは難しいです。
スターアジアの主張は彼らの資料に詳細が記載されてますが、①札幌の物件売却益と運用会社の判断によるPO失敗コストを相殺させたことが投資主の利益の反している(運用会社が余計なことしなければ400円以上の分配金増加だった)、②しかも相殺させたのに売却に関する資産運用報酬が費用計上されている。上場時は上場のために決算数値を作る必要があり自主的に資産運用報酬を削減してたのに、投資主に迷惑をかけた場合は資産運用報酬を削減しないのはおかしい、③さくら総合リートは上場してもうすぐ3年なのにファイナンスの物件取得もしてないのでスポンサーは無能、あたりがスターアジアの主な主張でしょうか。
あと、資産運用報酬(さくらはスターアジアより25%高い)、セイムボート出資(ガリレオ2.1%、スターアジア17.9%)、資産規模目標(さくらは上場時は3年から5年で1000億円→その後、毎期の決算発表の度に現在から5年以内に1500億円(視点が定まらない)→最新の資料からは削除された)など、数値面でも突っ込まれどころが多いさくらに不利。
実際、スターアジアの投資主価格は上場時10万円から10.9万円まで上昇。さくら総合リートは9.1万円から8.7万円に低下しているし、さくら総合リートの分配金はコンフォモールを無駄に売却したせいで1年で9%ほど減少する見込み。
でも、スターアジアの分配金も2020年1月期の予想分配金は2,770円と、2017年7月期の4,340円から36%低下しているので、なんだかなあという気もします。さくらはダメかもしれませんが、スターアジアとの合併が最適なのかと言われると悩ましい。BSやローンスターあたりもちょっかいだして来そうですが、もし競合がいないとするとそれほどにもアレなポートフォリオであることが明示されたことになってしまいますね。
個人的には、日本管財がガリレオを追い出すために仕掛けたとしたら面白いなあと思ってます。