緊急事態宣言で飲食店支援が急務。inzaiです、こんばんわ。神楽坂の飲食店を支えるべく日夜テイクアウトを注文しています。嫁さんも乗り気で夫婦仲にも効いてます。それでも日々、閉店する店が増えており軽子坂なんて3割しか残ってないのではないか。文化の火が消えていってる。
さて、2020年7月に集計した2020年末の三鬼商事都心5区空室率予想大会の答え合わせです。アンケート中はGOTOトラベルとGOTOイートでテコ入れされつつあった日本経済と見えないワクチン開発への絶望が入り混じった局面でしたが、現実の年末は無常。ワクチンが出来上がったものの日本への供給は後回しとなり、コロナ第三波と緊急事態宣言目前でお先真っ暗。そんな中で発表された2020年末の三鬼商事の都心5区オフィス空室率は4.49%。
アンケート中に確認できた数値は6月末の1.97%でしたから随分と上昇しました。一番近いのはショーンさんの4.08%、二番手がとっくさん@おふぃす屋さんの4.07%。ちなみにとっくさんはオフィス空室率予測を生業とするプロなのでnoteを買うといいです。4.49%より高い予想は5.0%と32.88%なので如何に予想外に悪化したのか分かります。本大会では副賞も用意していたのですが、さすがに40bp以上乖離しているのはニアピンどころかグリーンにも乗ってないよということで、次回以降に持ち越しといたします。
しっかし、オフィスセクターの動きはマジ分かんねえというのが本音。シクリカルに弱い新横浜ではトーセイリートの旗艦物件である新横浜センタービルから富士通コワーコが退去なんて話もありますが、空室率は2.85%と悪化幅は限定的で賃料は未だに上昇してます。
よりグレードの高い東京オフィスを対象とするCBREの3Q空室率は0.9%と1Qの0.6%から僅かな悪化。潜在空室率は2.2%→4.4%なのでこちらもそれなりに悪化してますが、ここから半年先はマジで分かんない。
確かなことは、2020年初までのクソ強いオフィス需要を引っ張っていたのはインバウンドとITベンチャー、そしてホテルとレジの開発によるオフィス滅失でした。通常時であれば普通のサステイナブルなテナントは入らないビルですらテナントが入居してしまってたわけで、その反動で一気に空室率が上昇したと考えるべきでしょう。なので空室率が1%台から3.5%までの上昇はREITからすると稼働率面では無視しても良いかなと。不自然に賃料上がってよかったねー、ボーナス期間だったねー、みたいな。
なのでこの半年は履いてた下駄が脱げただけ。ここから先は、大企業がようやくオフィスをどう構えるか戦略を固めて、本格的に床を減らしに来るでしょう。更に2022年以降はクオリティの高いオフィスの供給が2026年まで続くわけで、その中には「予定通り」Sクラスビルに数年~5年入居して新規ビルに移るテナントもいます。本格的な玉突きがいよいよ始まります。シクリカルに弱いはずなのに頑張ってるエリアが崩壊するとすればこれから。
ただこれまでと違って読みにくいのは、2012年以降のオフィス苦境を知ってるデベロッパーが「開発するならハイスペック。大規模ハイスペックならテナントは埋められる」と言わんばかりに、Sクラスビルばかり供給しようとしてくること。3.5万円払えるテナントが少ないことは既にコロナ前に証明されてしまったわけで大規模ハイスペックビル間の競争がどうなるのか、そして大規模ハイスペックビルから2段階落ちるJ-REITが保有するA-ビルにどんな影響があるのか。
普通に考えればS→A→A-と影響があるもんですが、Sがこれだけ多いとどうなるのかな。六本木ヒルズあたりの賃料が3万フラットになれば良いのか?そんなわけないよな。やっぱコアエリア以外のなんちゃってSクラスの賃料をAに落として頑張るしかないのかな。実際、豊洲ってそんな感じだよな。でもデベロッパーは新築オフィスの賃料下げないよな。あとA-に頑張って入ってるテナントがAに移転できるわけないよな。もちろんクラス間で完璧に断絶されてるわけじゃないけど、今までより断絶感あるなあとか、ぶっちゃけ住宅の方が賃料取れそうだけどこれって2011年あたりの都心物件全滅の前触れと同じ状況じゃないとか、色々考えてしまいます。
いまJ-REITで一番割安なのはオフィスREITですがそれは市況悪化懸念というよりそういう先の読みにくさが大きいのかもしれません。ケネディクスオフィスやプレミアは相当保守的に業績予想を作っており、分配金をあと10%くらい保守的に見れば歴史的な低迷期に並ぶくらいです。賃料の下落、ダウンタイムを含めると瞬間風速的にはもうちょっと下がりますが、それでも4.5%-5.5%の銘柄がゴロゴロしているのはなんだろう。押し目待ちなのか。いや、確かに地雷を沢山抱えたオフィスREITもあるのでその選別は大事ですが、いつも通り見えない敵と戦っているJ-REITになってきているのかもしれません。
あと近いうちに2021年末オフィス空室率予想大会やりますので是非ともご参加ください。