配当利回り5%くらいの見込みの星野リゾートリートで得するのは誰だ?

ツイッターをまとめたサイトがあったのでメモ代わりに更新。

アメリカで議論が活発になってますが(IRSの判断でREIT成りがペンディングされている企業の株価が暴落したり)、そもそも何がREITなのか、形式条件満たすだけで税負担軽減を認めて良いのかって問題があります。

REITには安定した社会インフラの供給という大義名分が根底にあったはずですが、不動産賃貸収入を生業としてるなら俺もREITじゃん?というプレーヤーが増えてきて、税金のためだけにREITの形になってる法人にもまったく同じように免税扱いするのはどうなんだと。前例のあるデータセンターをペンディングするのはやり過ぎでしょうけど、まあ次の候補である屋外看板やカジノとかを睨んでの動きなんでしょう。

J-REITの世界ではそこまで進んでませんが、それでも業界としては(というかお役所の考え)、昔のJ-REITには認められてなかったこと、投資法人の名前にスポンサーの冠を付けるな(利益相反のない別主体なんだから)から始まり、物件開発主体になったり、ホテルの運営委託方式が解禁されたり時代は移り変わってきてます。

その中から産業ファンドのように尖った物件で勝負して高い評価を得ているREITも出てきました。不動産と聞くとすぐ担保価値は大丈夫?代替性は?などと聞くプレーヤーが一気に置いていかれたあれです。

そういう意味で星野リゾートはそこから一歩先に進んだ存在です。物件そのものに担保価値はほとんどないと言っても過言はないでしょう。星野リゾートのブランド、運営ノウハウがあるからこそあの収益が出せるわけで、あの旅館や星のや軽井沢を帝国ホテルやヒルトンが運営できるとは思えません。他のプレーヤーにとっては二束三文、というと言いすぎですが、銀行ですら最後の最後には物件処分すれば回収できる、とすら思ってないんじゃないかと。

なので、星野リゾートリートを他のREITと比べることは難しいです。ああいった高級リゾートの平日の稼働率が100%なわけがありません、週末、休日に集めてなんぼ。数多のプレーヤーが失敗してきた難しいリゾート経営において星野リゾートのオペレーション力を信じるかどうか。

そういう意味では上場してるホテルブランド(海外含めて)や東京ドーム、東京都競馬を買うのとほとんど一緒です。ホテルビジネスとして稼いだ利益を賃料を明確に分離して投資家に配分するかどうか。さすがに星野リゾートと銘打ってる以上、契約解消なんてことにはならないでしょう。個人的には星野リゾート丸抱えによる利益相反懸念より、そのコミットメントを評価したいと思ってます。

感想としては「面白そう」のみでございます。

バリュエーションについては色々と突っ込みたいところですが、公開事例がほとんどないことと、オペレーションの特殊性から何だか書きにくいです。ビジネスに比べるとメンテ費用が馬鹿にならないところが、鑑定NOI利回りと配当利回りがずれているところなんでしょうかね。せめて上場時には大規模修繕レベルのことをやってきてほしい。