やっと本のタイトルを思い出しました

セクターローテーションについての感覚的な表現方法がしっくり来るので、頭の中に基本的な要素は入っているものの、久々に読み返そうかと思っているのですが思い出せないー、と嘆いていた本をついに見つけ出しました。

日本人はなぜ株で損するのか?

こんな俗っぽいタイトルだったとは思ってなかったので目の前の本棚にあったにも関わらずスルーしていたという事実。自分でも衝撃です。

京大の講義を書籍にしたもので、「詳細な内容はブログとかに書かないでね」と記載されているので詳しくは述べませんが(大まかな内容は本のタイトルでググれば出てきます)、やっぱ読み返す度に新しい発見があります。

体系的に説明されてそうでそうでないので内容が分かりにくい上に、このファンドマネージャーさんがこれまでのキャリアでぶつかってきた壁をどう乗り越えてきたのかわざわざ明示もされてませんが、この御方が段階的に新しいアイデアを取り込んで成長してきたんだろうなあと思われるところが随所にあり、それが自分の悩みに対するヒントだったりします。

今までスルーしていたものの今回引っ掛かったのが「株価に適正価格は存在しない」という段落。

本気で緻密なバリュエーションをすれば儲かるに違いないと思ってる人はほとんどいなくて、むしろモデルとか組んだことのない人(勉強したことのない人)や自分のアカウントで運用したことのない人の方がモデルを盲信してたり面倒なのですが、一方で説明責任としてモデルは一定の存在意義があってセルサイドのアナリストはむしろそれが主要な仕事で、バイサイドがそれの美味しいとこどりというか、変数に対するアクション先読みして投資したり、じゃあバリュエーションって意味あるんじゃないの?という結論にも成りかねないので複雑な議論になるのですが、要は株価が絶えず変動する中で考えるのをやめちゃ駄目ですよということです。

J-REITは3月にかけてドカーンと上昇しましたが、そこで目標株価達成!と胸を張ったアナリストを尻目にバイサイドはオロオロしてました。日経新聞の記事だけ見ても投資目線を見失っていたのが痛いほど伝わってきました。

バリュエーションはアホみたいに高いけど事実としてこんな株価になっている。じゃあ下がるまで待つか?その間に配当取り損ねるけど良いのか?たかが年間4%の配当なら1日のボラで消えてしまう程度なんだから休んだらいいんじゃないか。

どっかのブログのように「よく分かんないからJ-REITの分析は休憩ー」なんて言えるとそりゃ楽なわけですが、世の中そんな甘くないわけで、むしろこういう時こそプロの出番だというのが世間のリクエスト。

厄介なことにJ-REITは4/4の異次元緩和の直接の影響はほとんどなかったのに水準としては4月に高留まってしまった「こういう観点からJ-REITは適正価格」と絞り出すも、5月に急落。そこで今後は1300ptが適正価格なんで言ってみる。

正直、この1300pt、配当利回りで言えば4%、ここで従来からマーケットに参加してた多くの人は思考停止になったと思います。やっと止まった。これで安心と言えるか分らないけど、ここならフェアバリューと説明はできると。だから市場の売買高も減少していきました。ここが適正価格だと。

でも、またJ-REITは上昇していきそうになってます。

外部環境(金利、為替、新興国株)が大きく動くなかで、ロング中心でやってると現状肯定の意識が強く働いてしまうこともあり私もその一人だったのですが(幸いにして思考放棄という形でポジションは整理できたのですが)、高値圏でその水準を強く疑うことができなかったのは事実。もし「適正価格」という言い訳ができないかったらもう一段踏み込んだのに、違和感を覚えつつ逃げちゃいました。そして今も休憩しようとしました。

そういう意味で適正価格は存在しないと改めて言われるとグッとくるなあと。でもこんなこと言う上司がいたら絶対にそいつは嫌な奴でしょうね。

とりあえず相場のテーマが変わりそうなんでJ-REITは深追いしなくてもいいかなと。適度に利食ってしまって、それよりはハイベータ株にもういっちょ行きたいところ。

なお、藤原氏はこんな対談もしており、ちょっと借り物で理論武装し過ぎている感もありますが、借りものを借りるという意味ではそれなりに面白いもんじゃないかと思います。