ケネディクス不動産リートの宮島社長が退任…株価にはネガティブかな

J-REITの名物社長と言えば、NBFの西山社長(初めて上場したJ-REITでずっと社長)、東急リアルエステートの堀江氏(本も書いちゃう理論派)、グローバル・ワンの山内氏(自分のポリシーは曲げない孤高の存在。IRしない)、そしてケネディクス不動産リートの宮島社長が挙げられる。

その中で、この社長だからこのREITはここまで来れたという意味では間違いなく宮島社長が選ばれる。

他の3氏が「良い立地、良いスペック」という王道の不動産運用だったのに対して、宮島氏率いるケネディクスは中小型オフィスという「山ほど同じような物件があるが、山ほどテナントもいる。オペレーションが勝負を分ける」という運用方針で多くの投資家の信頼を得てきた。

細かいリーシングで高い稼働率を維持し、古いビルをお化粧で生き返らせ、20物件以上のレジを「運用方針が曖昧になるから」と売却。

スポンサーであるケネディクスが青色吐息でも「うちはスポンサー以上に信用されてますから」と言い切り、他の新興不動産会社のREIT(パシフィック、ジョイント、クリード、リプラス、アセットマネージャーズ、モリモト等)が次々と買収されたり、新しいスポンサーに代わったりしても、ケネディクスリートはケネディクスリートのまま、ここまで生き残った。

ここ数年は既存投資家に大きな希薄化のダメージを負わせたり(2回目がトドメだった)、意味不明なオフィスを買ったり(札幌とか日興シリーズとか。銀行から買わされたんだろうけど)、優良物件を売却したりで、徐々に信頼を失っていたのは事実。

完全に銀行の言いなりじゃないかと厳しく責められていた。

それは株価と利回りが如実に表している。

でも、社長としてはREITを成長させることが責務であり、ギリギリの範囲でリスクを取り続けたのだろう。市況さえ戻ればいつでも主導権は取り戻せると踏ん張っていた。

結局、オフィス市況は戻らず、時間との勝負に負けたけど、やるべきことはやったんじゃないかと思う。社長が頑張ったからと言ってそれで投資家が救われるわけじゃないが、そういうことも一度や二度ある。自信のない銘柄に過度にウェイトを置く投資家が悪いわけで、長期投資なら大きな損はしてないだろう。

残念なのは決算説明会で社長の最後のコメントが聞けないこと。言いたいことは沢山あったんだろうなあ。あと、あんな運用の難しいポートフォリオを託された次の社長は大変そう。

ひょっとしたら、宮島社長の退陣はケネディクスリートが次の成長軌道に乗るためのステップかもしれない。どっかと合併したりね。ケネディクスのバリュエーションなら舌なめずりしてる会社はいくつかあるんじゃないかなあ。