J-REITのここからの長期的な見通し

緊急事態宣言から初めての週末。混乱してる感はないですが、スーパー、ドラッグストアで棚が空いてるのが気になります。買い占めがすっかり定着してニュースにならないだけなのか、じわじわと物流停滞が表に出てきているのか。日本だけで完結する物流なんてほとんどないので、見えないところで資源、原料の奪い合いになってるんじゃないでしょうか。ランチ後にコーヒー飲まず昼寝したら3時間爆睡、inzaiです、こんにちは。

現時点で、経済指標の落ち込みがリーマンショック以上ということもありお先真っ暗で、景気悪化を織り込んだ株式市場は世界恐慌レベルに乱高下。それに対し各国政府、中銀が巨額の財政投入を始めてます。何をどう評価し、J-REITがどっちに行くか予想するのは悩ましいところですね。

まず、巨額の財政投入については問題ありません。というか選択肢がこれしかないです。過去の政策の歴史を紐解くと景気の悪化を脱したのは全て財政投入のお陰、と言うか今よりも手探りで政策決めてる時代に税金投入をケチったせいで景気の谷が深く長期化してしまったというのが反省。リーマンショックなんて最たるもので何が起きているのか分からなかったので後手後手に回っているうちに辺り一面が焼け野原にになってしまった。コロナは極めて見えやすい敵であり、やることは明確。だからこれ以外の選択肢はない。手法、量の問題はあれど、中小企業への実質的な無制限融資に踏み切ったのはすごいとしか言いようがないです。それに伴うモラルハザードや悪しき前例を作ったという声もありますが、どんな形であれ摩擦は避けられないし、性悪主義に立つのか性善主義に立つのかという違い。私は、最近の雑なビジネスの乱立がバブルにしか思えなかったという話はさておき、ミクロレベルでは総じて正しい道にお金が流れていくだろうなあと思ってます。

ただ、J-REITを長期的に考える上で現状をまず正しく理解しようとすると、コロナショックが不況を引き起こし財政投入された云々という話ではなく、リーマンショック後に死んだ経済を正常化させるために各国中銀、各国政府が金融緩和という形で膨大な量のガソリンを注ぎ混んでる最中にコロナが引火してしまいガソリンが爆発し始めたということ。なのでまずガソリンの炎上を止めるために財政投入が必要。その上で、えーっとアベノミクス前がどういう状態で、コロナショックを防ぐために何をやって、これからどうなるんだっけ?という話。インフレ2%を目指し最後の手段としてバブル上等で劇薬を打ちアベノミクスを開始し、薄氷を歩き始めたのにその氷が割れてしまったかもしれない。そう、コロナショックで景気が悪化したのではなく、これはアベノミクス、というと語弊がありますね、現在の社会秩序と国家体制を維持するために西側社会が挑んだ停滞感を打破するための施策が頓挫した可能性があるということ。これから何が起こるのか。

とは言え、そういう根本的の前に色々考えることはあります。これまでの経済を支えてきた巨大IT企業は在庫ないから大丈夫かと思ってたら実はインターネットサービスの高度化で膨大なインフラコストを負担することになっており、経済停滞で広告料やシステム投資が減るとそのインフラコストを負担できなくなってしまうのではないか(リクルートの融資要請とかそういうことかな)とか、なんちゃらペイとかいう僅かな決済コストの削減を目指すことが正当化されてたこと自体が貨幣の信用に対する麻痺の顕在化でありバブルの象徴だったのではないかとか、BB以下の企業が社債発行で自社株買いとか頭おかしいよねとか、いやいややっぱりマイナス金利が究極的に頭お花畑の究極的な事例でしょとか。あとは他国の善意に頼る物流網はやっぱ国家の生殺与奪権を差し出す行為だったねとか色々ありますが、まあそんなところ。

もうちょっと本質的な話と言うか、今回感じたことをつらつら述べると、恐ろしいなと思ったのは人類は(少なくとも日本は)行き着くところまで行き着いてるなと。人口減&高齢化で国内需要が低下してるのは認識してきましたが、生活必需品の消費だけでは経済がここまで回らず、嗜好品の低迷がここまで低収入層に影響あるとは思わなかったです。

大量消費される生活必需品の生産側の従業員が低収入層であればここまで落ち込むことはなかったのでしょうが、もはやそういった安定だけが特徴の職業ですら狭き門なのが現実社会。要は全員が働かなくても供給能力は足りてて、働かなくても世の中回ってるからと言われてしまう世界。

となると不要なものを作って需要を喚起するしかないのですが、不要なものを買うほど豊かではないので、資本蓄積が生じない。本当にお金使わなくてもなんでも出来るようになってしまった。一昔前だとそういった不要というか嗜好品の市場で生きる人は本質的には山師であり、失敗すれば地味な仕事に戻って糊口をしのぐ生活をしていたはずが、大学出ても大学院を出てもその最低限の生活すら難しい。

産業革命が進めた分業化が行き着きた結果、人間は自分のために働く必要がなくなり、厳密には働くことができなくなってしまい、当然の帰結として貧しくなってしまいました。政策の問題じゃない。もっと大きな話。で、解決策は奪うしかなくなるわけで、国内で奪い合ってるのが現状と。

これから日本で起きることは高等教育を受けても生活が保障されない韓国やシンガポールのようなモデルがいよいよやってきたのと、オーストラリアのパースやシカゴで起きたことと同じで人が集まってるから仕事あるけどそもそもここに集まる必要ないので都市が衰退していくというアレなのかなあ。総中流社会の終焉と言うとありきたりな言い方ですが、本当にそうなってしまったんだろうなあ。

幸いにして、対外債務が少ない日本には鎖国という一発逆転の生き方もありますが、対外債権を放棄するのも非現実的なわけで。だったら実質的な鎖国と言う意味で社会主義になっちゃう?というのもありだと思うんですけどね。そうなると土地は強制収容、通貨価値はゼロになりますが、それ戦後にやってるからもう1回やれば良い。いや、現実的には中国の支配下になるのが一番手っ取り早いか。四国辺りを中国に貸与してみて上手く行けば日本も属国になるとか?

長々と述べましたが、要は長期的な話として世界が沈んでいってるのは変わらないので、J-REIT投資はこれまで通り慎重にやっていくしかない。そんで波が来たら乗ったり降りたり。で、ハイパーインフレの気配もあるのでJ-REITは最低限は保有しておき、一方で土地の権利がゼロになる革命リスクにも備えるってことですかね。冗談っぽく書いてますが、どんなリスクにも耐えらえる資産て自分自身の金融知識と教養で、次に汎用性高いのが金と土地。本質的にそれ以外は紙くずになるリスクを包有したものでしかないという割り切りも必要なのかもしれない。

超長期の話になったのでもう少し時間軸の短い話をいくつか。今のJ-REITはリーマンショックと同水準に調整を織り込んだ位置にあるという話を最近聞くようになってきましたが、あくまで価格を直線的に分析した話です。キャップレートで1%だったり、リーマンショックから半年後の比較だったり。現実はもっとややこしくて低下し切ったクレジットスプレット、上昇し切った稼働率、賃料水準はマーケットが上昇していっただけで実績値は置いて行かれてる感もあったのでOKですし、大半の銘柄のLTVは抑制的なんで悪くはない、そしてテナントが破綻してもまあリーマンショックの時もそうだったよね、面倒くさいけど終わりじゃないくらいの冷静さもあり、そういったこと考慮すると全体感としてはまず耐ショック的に1450ptあたりで調整一巡、あとは各REITの個別要因でプラスマイナスある感じ。

4月8日に書いたように鉄火場は一巡して下げ過ぎた銘柄は戻ってきてるし、一方で資金避難されてた大型オフィスは売られ始めました。あとは物流だけが底堅い。ただ、ダウンサイドのあるなし、割安割高は別の話なので、3月以降の下落局面で売られた理由、買われた理由が逆流する可能性もあるし、じゃあGLPと言わないでも値持ちの三井不ロジやプロロジスがPOしてお金が集まるかと言われれば割安感がないという理由叩き売られかねない。中小型銘柄が戻ってこないのはさもありなんだし、変な戻り方してる銘柄もない。そうなると傷ついた経済で上手くやっていける銘柄はどれか、要はファンダ的にダウンサイドがなくて売られ過ぎ銘柄がまず戻って、次に投資口価格水準次第でファイナンスできる銘柄(不動産の仕込み的にも価格的に投資家受け的にも)はなにかなーという話をするのかなと。ゴミ買って分配成長ゼロのファイナンスするのは勇気いるでしょうねえ。かと言って投資口価格が戻らないのに物件揃うかな。そうなると消去法で物流なんですが物流だけが平然と外部成長するマーケットの違和感あるなあと。