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J-REIT分析 2013年1月5日①

今年の目標はブログの英語化(目標は高く)。inzaiです。こんばんわ。

某ブランドの招待セールで10年ぶりに冬コートを新調、生まれて初めて春秋用の薄手のコートを買いました。これで「君、見てるだけで寒そうなんだが」とか「袖口ボロボロだけど気づいている?」とか周りに気遣いされてなくて済みます。ひょっとしたら株高が潜在的に私の財布の紐を緩めているのでしょうか。

本日は昨年10月28日以来、ほぼ2カ月ぶりのオヌヌメランキングです。まずおさらい。

前回時以降のリターンランキング、銘柄コード、銘柄名、リターンを並べたものです(コメントはランキングの後)。

1 8986 日本賃貸住宅投資法人 20.21%
2 3234 森ヒルズリート投資法人 18.09%
3 8987 ジャパンエクセレント投資法人 15.89%
4 8975 いちご不動産投資法人 14.12%
5 8957 東急リアル・エステート投資法人 13.50%
6 8953 日本リテールファンド投資法人 13.21%
7 8976 大和証券オフィス投資法人 12.39%
8 8954 オリックス不動産投資法人 11.94%
9 8968 福岡リート投資法人 11.85%
10 8973 積水ハウス・SI 投資法人 11.50%
11 8952 ジャパンリアルエステイト投資法人 10.31%
12 3249 産業ファンド投資法人 10.10%
13 3279 アクティビア・プロパティーズ投資法人 9.92%
14 3278 ケネディクス・レジデンシャル投資法人 9.67%
15 8951 日本ビルファンド投資法人 9.62%
16 8984 大和ハウス・レジデンシャル投資法人 9.52%
17 8956 プレミア投資法人 9.09%
18 8964 フロンティア不動産投資法人 8.49%
19 3226 日本アコモデーションファンド投資法人 8.35%
20 8958 グローバル・ワン不動産投資法人 7.98%
21 8972 ケネディクス不動産投資法人 7.67%
22 8985 ジャパン・ホテル・リート投資法人 7.04%
23 8979 スターツプロシード投資法人 6.39%
24 8967 日本ロジスティクスファンド投資法人 5.94%
25 8955 日本プライムリアルティ投資法人 5.79%
26 8977 阪急リート投資法人 5.54%
27 8960 ユナイテッド・アーバン投資法人 4.83%
28 3269 アドバンス・レジデンス投資法人 4.56%
29 8966 平和不動産リート投資法人 3.72%
30 3240 野村不動産レジデンシャル投資法人 1.03%
31 8961 森トラスト総合リート投資法人 0.41%
32 3227 MIDリート投資法人 -0.81%
33 8963 インヴィンシブル投資法人 -0.94%
34 8982 トップリート投資法人 -1.18%
35 8959 野村不動産オフィスファンド投資法人 -1.37%

ざっくり言ってしまえば出遅れ銘柄の巻き返し。負ののれんを持っていながらクレジットの懸念で放置され気味だったいちごと日賃住、2番手オフィス銘柄として2番手以下のエクセレント、東急リート、森ヒルズ、大和証券オフィス、オリックスと何とも分かりやすい。特にトップ5は出遅れに加えて、負ののれんやグレードの高いオフィス保有など少し光るものもきっちり評価された結果です。

このブログをご参照いただいている皆様に申し訳ないのは、足元でこそ出遅れを挽回しつつあるもののちょこちょこオヌヌメしてたユナイテッド・アーバンと森トラストの体たらくでございます。不安要素はありつつも、それなりにマーケットは織り込みつつあり、リバーサルも大きいと考えてましたが、今年に限って言えば結果が出せなかった一年と断言できます。

あと、いちごと日本賃貸住宅は安定した業績ながら負ののれんが評価されにくいJ-REITマーケットでは割安に放置される懸念があり、また日本の不動産の閉鎖性、流動性から負ののれんによる財務テコ入れは容易ではないと思ってましたが、不動産マーケットの活況、金利低下、株高による投資家増加により、「普通のJ-REIT」として評価されるようになってしまいました(株価的に)。そこも読み違ったのは正直なところ。

ではオヌヌメランキングです。正直なところメッチャ苦しいですが、J-REITに対するスタンス年初に述べた通り変わっておらず、あくまで配当利回り商品として、「この水準の利回りにお得感あるか」「いつまでこの水準を維持できるのか」という観点から、まあこんなもんかなとランキングされているものです。

森トラストとかグローバルワンなんて逆張り以外なんでもございません。なお、利回りの計算方法は不動産投信情報ポータル様と同じです。全銘柄の平仄を取るため開示ベースの数字を使ってます。

3263 大和ハウスリート投資法人 566,000 3.68%
11月に無事上場を果たした物流メインのリート。商業はちょっと不安要因で、綜合的にも大和ハウスリートに比べると投資家フレンドリーにやや欠ける。長期契約がメインなのでブレは少ないものの、今後の物件組入次第ではバリュエーションが変わるかもしれません。巡航ベース利回りは上場時で5.8%。まだもうちょっと上でも良いかもしれません。

3279 アクティビア・プロパティーズ投資法人 554,000 5.76%
東急不動産がスポンサーのオフィス/商業REIT。東急リートから離脱したと思ったらこんなこと考えていたのか、いや知ってたけど、というのが業界のコンセンサス。正直、不動産ビジネスとして見ると東急電鉄より格が落ちるのだけども、オフィス市況さえ持ち直せばリスクは大きく減少するREIT。なんで11月に50万円のところまで売られたんですかね?あれはバーゲンセールでした。

8985 ジャパン・ホテル・リート投資法人 24,170 7.40%
唯一のホテル専業リート。この1年、ホテル業界は絶好調だっただけにその反動がちらほら見えるところに、韓国中国ショック。JHRへの影響は少ないと思いますが、業界全体が停滞するとちょっと影響も出るかと。利回りが高いのは、ホテルを信じたくないという固定観念をもった連中が多いのがこのマーケットだからです。(外国人の好みの影響で)CMBSはそこそこのホテルを持っているので、どんな形で入れ替えを実現するのか気になるところ。雪月花は予約が取れないのでわざわざGoogleに広告出さなくてもいいじゃないかと思います。

8956 プレミア投資法人 330,000 5.95%
NTT都市開発、KENコーポ(高級住宅の業界最大手の一角)を中心としたオフィス/住宅REIT。マーケットの成長はNTT都市開発のオフィス、安定収益は住宅からという素晴らしいバランス感覚のREITだったはずが、2流オフィスが大きく足を引っ張って評価いま一つ。NTT都市開発も積極的に関わっていく感じに欠けるが利回りはもうちょっと下がってもいいと思います(相対感で)。
8961 森トラスト総合リート投資法人 733,000 5.18% 大手だけど非上場なんで分かりにくい森トラストがスポンサーのオフィス中心のREIT。不動産会社の格としては東京建物や森ビルより上なんだと思ってます。ソフトバンクの本社とコンラッドが入る汐留ビルはREIT随一のオフィスビル。大型の賃料改定が控えており、三田ビルのリーシングも1月頃に大きな方針を固めるということで、株価はやや伸び悩んでましたが何とかここまで持ち直した。

8958 グローバル・ワン不動産投資法人 528,000 5.15%
明治安田、三菱、近鉄、そして最近森ビルがスポンサーの仲間入りしたオフィスREIT。ワンマン社長の下、近・新・大を標榜するREIT。「狭い日本じゃ分散しても効果ないよ」と言ったとか言わないとか。仙石山森タワーの取得で打てる手はあと一つくらいになってしまった。あとは株価回復まで耐えるのみ。淀屋橋フレックスタワーの日本生命も大阪拠点の集約に乗り出しており(今の本社の横で再開発)これまた不安材料。

上記銘柄以外は次の記事に続きます。

J-REIT分析 2012年10月28日(日銀決定会合)

昨日書いたJ-REIT分析を読み返してみましたがちょっとひどいですね。すいません。日本リテールファンドまではちゃん短期的な材料を突っ込んでるのに、それ以降はちょっと柔らかい話に終始してしまいました。あとランキングがないとやっぱり話が締まりません。細かいニュアンスの違いもランキングにすれば言いたいことが自分の中でもすっきりするので必要です(以上、独り言)。

さて、マーケットの期待が高まっている日銀決定会合。事前にポロポロ漏れているので、多少ネガティブだった場合のポジション調整すら進んでいる印象を受けます。

注目はなんといってもJ-REIT。2010年12月から25カ月で1200億円買ってきた日銀が今後もこのペース(48億円/月)を維持するのか?日銀保有比率が5%に近い東急リートを買入対象から外すなど(4.8%以上を外すとすると次回は3~4銘柄が外れることになりそうですが)や場当たり的な運営が目につき始めただけに、緩和するのはコンセンサスだとしてもその金額、手法、買入期限に大きく注目が集まります。

FRBのように無期限のオープンエンドをやるとは思えませんが(現行では日銀のバランスシート運営には色々な制約があるので)、政府からプレッシャーを受けている中、どのようなアクションを起こすのか。

J-REITがじり高を続けているのでマーケットの温度を把握しかねているのですが、ロングの投資家が粘っこく買っているようなので仮に100億円/2013年6月まで、とか300億円/2013年末までとかただの既存の延長に終わった場合に調整見せてもすぐに買いが入りそうですね。債券が枠拡大しただけなのにETF/J-REITだけ新しい手法を導入するってのも考えにくいですが。

仮に「J-REIT買い入れは実体経済に影響しないから延長なし!!」なんて大英断が下されたらこの水準で仕込んだなんちゃって長期投資家はきついでしょうねえ。。どうモデル組んだら効果ありにできるのか想像できませんけど、まあ不動産業界だけは好調と言えないことはありませんし。

J-REIT分析 2012年10月28日②(8967-)

8967 日本ロジスティクスファンド投資法人 724,000 4.90%  (物流会社とは違う意味で)物を動かすなら商社に任せとけ!の三井物産をスポンサーとする物流REIT。いまをときめく物流施設にマーケット初期から参入していたので物件の取得利回りはかなり高い。もうお宝と言っても良いくらい。これから後続の物流REITが出てくると言われてますが、このLTVでこの配当金はきっと出ない。難しいのはマーケットが「このLTVを50%まで上げればもっと配当金が出る」というのを期待している感があるバリュエーションですが、如何せんボラが低いREITなんで仕込みが難し。

8968 福岡リート投資法人 599,000 5.41%  福岡に特化した総合型REIT。スポンサーは福岡財界連合と言うしかないメンツ。そのエリアを牛耳れるスポンサーというのはとても心強い。コア物件はキャナルシティで、その他のオフィス、商業、住宅も収益が安定しているのが主要地方都市の強み。成長は期待できないので利回りはやや高め。今後は中国、韓国の影響が如何にというところ。短期に修復できるとは思えないのでどうやってカバーしていくか。ラオックス はちょっと心配。

8972 ケネディクス不動産投資法人 287,000 6.24%  中規模オフィスでは最大手と認識されていたが、最近は中規模の定義が若干厳しくなっているので、中小規模のオフィスの雄とでも言うべきかもしれない。スポンサーであるケネディクスのメインバンクであるSMBCの100%子会社である日興SMBCが兜町からまさかの退去。取得してから半年くらいだったのに。配当金への影響は1000円ちょっととまさにシャレにならんインパクト。慌てて府中、春日などの物件買ったけど、その場しのぎ感あり。その兜町のビルはJ-REITフェアで見に行きましたが何か目張りで工事してました。ただの退去に伴う工事なのか後継が決まったのか。

8973 積水ハウス・SI 投資法人 361,000 5.71%  積水ハウスがスポンサーの住宅REIT。商業もそこそこ保有しているが最大の問題物件の処理はほぼ目途がたった。小型ながら公募増資も成功させてまさにこれからの色々「らしさ」が出てくると思っている。商業ではなんだかんだイベントが発生するかもしれないが、住宅でカバーできるっしょ。

8975 いちご不動産投資法人 42,500 6.21%  過度な期待はできないものの、いちごグループのバックアップでそれなりのパフォーマンスは期待できるREIT。どこにでもあるオフィスをじっくり運用するので大きな失敗はないと思うけど狙うときは売り込まれた時だけだなあと。

8976 大和証券オフィス投資法人 259,800 4.43%  大和証券になにが出来るのか分からないのですが、とりあえずもっと早く物件取得してLTV上げるはずだったのに仕込み時を逃してしまったREIT。利回りが低いのは彼らが仕事をしてないからであって、LTV45%で利回り5.5%くらいが目指すところじゃないかと思ってます。

8977 阪急リート投資法人 406,000 5.91%  名門、阪急電鉄をスポンサーとして関西中心に商業、オフィスなどを保有するREIT。福岡REITは完全にエリア特化型ですが、大阪になると東京資本組も多く独占できないせいか東京の物件もいくつか保有してます。田町のホテルグレイスリーなんかは尖ってて好きですけど。なんだかんだ言って大阪の一等地に商業ビルを持っているので強いと思いますが、北ヤードの影響は避けられない。

8979 スターツプロシード投資法人 123,600 6.33%  地味だけど地元にしっかりのスターツがスポンサーの住宅REIT。資産規模の小ささがネックですが、免震の賃貸マンションとか技術はしっかりしてます。個人的には好きですが資金調達力とか見劣りするのは事実。一回大きなPOできれば評価はガラッと変わると思うのですが。

8982 トップリート投資法人 382,000 6.26%  踏んだり蹴ったりという言葉が良く似合うREIT。新日鉄と住金が合併して、スポンサーの一角だった新日鉄都市開発が離脱(厳密にはジャパンエクセレントのスポンサーだった興和不動産に吸収)。そしてコア物件だったトリトンスクエアから住金本社が退去。三井住友信託に不動産を信念もって運用できるとは思えないので(彼ら自身は不動産のプロして運用業務やってますが本業ではないので)今後どうするのか。大人気だった時期も知ってるだけに辛い。

8984 大和ハウス・レジデンシャル投資法人 630,000 5.24%  大和ハウスがスポンサーの住宅REIT。オヌヌメランキングでずっとべた褒めしてた銘柄ですが、さすがに上昇しすぎだろうと。良く分かってないクオンツの連中がグロースだけで買ったりしてるんだろうかと思ってしまう。期待利回りの絶対感なんて人それぞれだから良いと思うけど、5%割れなんてなったら売りなんだろうなあ。おじさんもびっくりのスピード。

8985 ジャパン・ホテル・リート投資法人 22,580 7.92%  唯一のホテル専業リート。この1年、ホテル業界は絶好調だっただけにその反動がちらほら見えるところに、韓国中国ショック。JHRへの影響は少ないと思いますが、業界全体が停滞するとちょっと影響も出るかと。利回りが高いのは、ホテルを信じたくないという固定観念をもった連中が多いのがこのマーケットだからです。

8986 日本賃貸住宅投資法人 48,000 5.35%  この株価上昇に戸惑っているのは彼ら自身かもしれない。いや、配当金の水準は当面維持できますし、ファンダ面で心配することはないのですがアドバンス・レジデンスや大和ハウスレジデンシャルと同一レベルってのはある意味重圧ではないかと。まあ、ぶっちゃけ住宅REITなんてのはある一定の規模を超えたら分散効果なんてどれも一緒だから今の株価は正しい反応なんですけども。

8987 ジャパンエクセレント投資法人 437,500 5.58%  興和不動産が支えるオフィスREIT。グレードが素晴らしいものと古いけど立地が良いものを沢山保有している。但し値段は高い。そんなREITです。上値さえ追いかけなければ怖くありません。6%欲しいけども。

3226 日本アコモデーションファンド投資法人 575,000 5.01%  三井不動産系の住宅REIT。ずーっと株価が伸び悩んでましたが、他の住宅REITの利回りが5%前半に突入してきたところで配当金の上方修正もあり、やっと火がついたように上昇。何の心配もいらないけど利回りだけが不満のREIT。

3227 MIDリート投資法人 211,000 7.07%  関電がスポンサーになったものの、関西財界からの要請だったんだろうなあと思いを日々強くしているREIT。京橋OBP(大阪ビジネスパーク)の高層オフィスビルの需給がここ数年のテーマ。テナントのパナソニックは業績に余裕ないので丸ごと退去するリスクはかなり減りましたが。減床と減賃リスクは大きい。

3234 森ヒルズリート投資法人 398,000 4.57% 6月、7月に散々オヌヌメしていたオフィスREIT。最近の景気良い上がりっぷりは良く分かりませんが、ついにグローバルワンと合併でもするのでしょうか。株価がボロボロだっただけに成長期待も大きいのですがさすがにどこまでやるつもりなのか。スポンサーは森ビルで、ビルのグレードはぴか一。そして大半が森ビルの賃料保 証付き。こんなに分かりやすいのになぜ放置されてたのか。

3240 野村不動産レジデンシャル投資法人 484,000 5.08%  野村不動産がスポンサーの住宅REITで昨年のPOで完全に安定モード。からくりはあるのですが配当金は今後も安定してますし、何の面白味もない(最高の褒め言葉)REITです。利回り5%ねえ。

3249 産業ファンド投資法人 604,000 4.72%  随分と剛腕を駆使して復活を遂げたREIT。保有物件は物流施設とインフラ施設(JALの飛行機修理工場とか)で長期安定がウリ。スポンサーは三菱商事で築古物件が多いのが気がかりですが、重大なトラブルが起きるとしたらまだまだずっと先の話ではないかと。今後はどんな物件を買うのか分かりませんが、これまで通りの水準で買うとすると分配金はまだまだ伸ばせるはず。

3269 アドバンス・レジデンス投資法人 173,200 5.20%  負ののれんという内部留保をじゃぶじゃぶ言わしているREIT。どうにも使い道がなく正直ちょっと持てあましてるんじゃないかと。スポンサーの伊藤忠も不動産ビジネスはちょっと敬遠気味で無茶はしないでしょうし、配当金はずっと安定。

3278 ケネディクス・レジデンシャル投資法人 174,800 6.98%  ケネディクスがスポンサーの住宅REIT。ある意味、無茶しなければ誰も住宅REITを運営できるんじゃないかと思わせた意味で彼らの貢献度は果てしない。この資産規模ではちょっと心細いし、上場後の物件取得の動きもちょっと鈍い。

3279 アクティビア・プロパティーズ投資法人 504,000 5.96%  東急不動産がスポンサーのオフィス/商業REIT。東急リートから離脱したと思ったらこんなこと考えていたのか、いや知ってたけど、というのが業界のコンセンサス。正直、不動産ビジネスとして見ると東急電鉄より格が落ちるのだけども、オフィス市況さえ持ち直せばリスクは大きく減少するREIT。

J-REIT分析 2012年10月28日①(8951-8966)

そろそろマーケットも佳境かもしれないので、ここらで久々のJ-REIT分析の更新です。コメントを一から書いているのでさすがに大変。ちなみに以前のコメントを見ずに今の印象を綴っているので、どうしても個別REITの概要への言及が多いです。細かい表現の違いもありますが、決定会合やFOMCじゃないので特に意味はありません。頻繁に更新するようになれば(私の頭のテンパリ具合によりますが)、またタイムリーなコメントが増えていくと思います。

ちなみにオヌヌメコメントがなくなったのは上昇相場入りで中期サイクルとして仕込み時は終わったと判断したからです。1050ptまで上昇している相場のことを考えると1000ptでもまだ仕込み時だったじゃないかと言われるとそうなんですが、とにかく絶対的なバリュエーションで安いものだけを拾うのが自分のやり方ですので。そういう意味では8月のグローバルワンも配当金を上方修正したので間違ってはないと思うのですが、株価伸びませんね。なんでだろ。大手町ファーストスクエアの空室率がさらに上がりそうですし、やっぱスフィアタワーのネットワンですかね。

では、REITのコメント一覧です。数字は金曜の株価と予想配当利回りです。とりあえず平和不動産リートまで。嫁が変なこと言って来ない限り、6時くらいにまたアップします。ちょっと鬼畜王ランスやりたくなってきたので。

8951 日本ビルファンド投資法人 842,000 3.63%  三井不動産がメインスポンサーのオフィスREIT。資産規模は日本最大のJ-REITで稼働率の安定感は抜群。物件のクオリティも三井不動産が保有するものには敵わないものの、それでもやっぱり三井らしいプライドが感じられる(全部が全部とは言わないが)。足元、配当金の水準は何とか横ばいを維持。思ったよりも不況期にバーゲンセールできなかった点はちょっと残念。LTVはかなり上昇しており次のPOは12月~2月か。

8952 ジャパンリアルエステイト投資法人 795,000 3.82%  良くも悪くも三菱地所らしさを存分に発揮している日本第2位のオフィスREIT。社長は控えめですが、保有物件やリーシングから漂う俺様感にマーケットはしばしば翻弄される。物件のクオリティではNBFには負けてないし、他のREITとはそれこそ段違い。目先は悪材料出尽くしで、その分はしっかり織り込んでいると思う。公募増資終わって一安心も利回り4%割れはまあ買い場とは言えない。

8953 日本リテールファンド投資法人 142,300 5.43%  三菱商事の商業特化型REIT。65%が郊外型(ショッピングモールとか大型スーパー)で35%は都市型(繁華街の路面店舗とか商業ビル)。何をしでかすか分からない時期は過ぎて、イオンREIT上場までは安定期といったところ。イオンが資金調達手法を手に入れたと言っても、いきなりオーナーに三行半を叩きつけるとは思わないが、「ちょっと業績悪いから賃料を中心にゴリゴリ交渉するよ」って雰囲気がちと怖し。

8954 オリックス不動産投資法人 402,000 5.47%  絶賛テコ入れ中のオフィス中心の総合型REIT。金融緩和期でオリックス本体からの重圧は少ない点は安心だが、配当金を安定させるためにはポートフォリオの入れ替えはまだ続けないと厳しいかも。直近の決算は底入れ確認でOK。数字の成長の割には力強い言葉に欠ける点がちょっと不安。

8955 日本プライムリアルティ投資法人 238,200 5.04%  東京建物系のオフィスREIT(ちょっと商業とかも保有)。みずほFG本店となる大手町の土地を取得してマーケットの評価は「主要オフィスREITの一角」からちょっと抜けた感じ。配当金6000円の死守を標榜しており、そこまで無茶な目標ではないと思ふ。

8956 プレミア投資法人 302,500 6.43% NTT都市開発、KENコーポ(高級住宅の業界最大手の一角)を中心としたオフィス/住宅REIT。マーケットの成長はNTT都市開発のオフィス、安定収益は住宅からという素晴らしいバランス感覚のREITだったはずが、2流オフィスが大きく足を引っ張って評価いま一つ。もうちょっとNTTが分かりやすくテコ入れしてくれると期待してたのだが。

8957 東急リアル・エステート投資法人 426,000 5.31%  東急電鉄がスポンサーのオフィス/商業REIT。マーケットサイクルを考えるとオフィスと商業の相関性が低い(商業が先行して動く)ことが安定配当に繋がるはずだったが、「東急電鉄なら賃料高くても維持できる」という見込みが甘すぎた。マーケットの絶頂期に取得したオフィスを減損懸念で手放すなど、理論派なんだけど色々と惜しいREIT。開示内容(量)はREITダントツ。多すぎてどこ見たらいいのか分かんない。

8958 グローバル・ワン不動産投資法人 489,000 5.24% 明治安田、三菱、近鉄、そして最近森ビルがスポンサーの仲間入りしたオフィスREIT。ワンマン社長の下、近・新・大を標榜するREIT。「狭い日本じゃ分散しても効果ないよ」と言ったとか言わないとか、とにかく物件数、テナントが少ないのでここ数年は業績が安定しない。鑑定評価ベースでは一番売り込まれている。淀屋橋フレックスタワーの日本生命も大阪拠点の集約に乗り出しており(今の本社の横で再開発)これまた不安材料。

8959 野村不動産オフィスファンド投資法人 510,000 4.82%  野村不動産をスポンサーとするオフィスREIT(名前のまんま)。物件を見ると財閥系不動産会社との差を痛感する。永遠の2番手グループなんだろうなあ。古い物件が多いものの、スポンサーが中小型のPMOシリーズをガンガン開発しており、上手く物件を入れ替えてくれることを心から所望。頼むから私募REIT優遇とか辞めてほしい(REITがPOできないからって)。先週末で配当落ちしており、価格推移に注目。ギリギリまで買いこんでる人がいたからなあ。

8960 ユナイテッド・アーバン投資法人 97,400 5.65%  丸紅系の総合型REIT。負ののれんもあって、金利コストの削減余地もまだまだあるのに、オフィスセクターが不安でマーケットの評価が定まらない。でもマーケットが暖まると一気に上昇する。11月配当落ちだしね。中期的なレンジで大きく動く銘柄なのでじっくりじっくり。どこかに落とし穴ありそうと思わなくはないが。そういえば前回の大型POからはや1年半か。。

8961 森トラスト総合リート投資法人 730,000 5.04%  大手だけど非上場なんで分かりにくい森トラストがスポンサーのオフィス中心のREIT。不動産会社の格としては東京建物や森ビルより上なんだと思ってます。ソフトバンクの本社とコンラッドが入る汐留ビルはREIT随一のオフィスビル。200億円の三田のビルから日立系が抜けることがリリースされた後に色々な噂が憶測がありましたが(隣地と開発するために森トラストが買い取って、また大きなビルを取得するとか)、LTVを活用してマーケットから地道にビルを買い集めました。ちょっと残念。あまりファイナンスには前向きではなかったけど、いつでもなんでも出来るREIT。

8963 インヴィンシブル投資法人 6,400 3.30%  紆余曲折を経た独立系のREIT。この前、バルクで物件を取得してましたが、まあ何がしたいのかよく分かりません。

8964 フロンティア不動産投資法人 707,000 5.09%  三井不動産の商業REIT。最近ちょっと神通力が落ちている印象が強い。博多の物件を高値で取得したり、アウトレットの自社競合で売上が伸び悩んだり。数字の帳尻合わせは抜群なので何の心配もしてませんが、昔ほど「ほっといても良いや感」はなく。それを考慮しても一時期はちょっと売られ過ぎでしたが。

8966 平和不動産リート投資法人 56,400 5.53%  スポンサーである平和不動産が大口株主であるファンドから投資口取得をリリースしてから上がりっぱなりのオフィス/住宅REIT。プレミアと良く似たREITなんで限界はあると思いますが、負ののれんを考慮してもちょっと安く放置され過ぎた感が強い。合併銘柄の中では一番にリストラ完了したREITでオフィスのグレードはいまいちではあるものの、配当金の水準は安定しているんじゃないかと。

J-REIT 分析 2012年8月26日①

前回のJ-REIT分析からはや1ヶ月。お盆挟んだりしてマーケットがまったく動かない時期もありましたが、先週からやっとボラが出てきた感じです。日経平均が9000円超えたところで下げ渋っているうちにJ-REITが追い上げてきました。グローバル市場が大きなイベントを迎える前で上か下か悩ましいところですが、ポジションで言えばリスクオフのままの人が多いと思われ、その調整の意味もあるのでしょう。

さて、J-REITマーケットでは、前回の分析(7/21)からの東証REIT指数の騰落率は+3.7%で、足元では979.11ptまで来ております。利回りは5.3%とボチボチなところ。

この期間のパフォーマンスTOP10は以下の通り。

8976 大和証券オフィス投資法人 13.59% 4.60%
8961 森トラスト総合リート投資法人 9.28% 5.22%
3249 産業ファンド投資法人 7.74% 5.12% 78,332
8973 積水ハウス・SI 投資法人 7.29% 5.75%
8954 オリックス不動産投資法人 7.20% 6.02%
8953 日本リテールファンド投資法人 6.60% 5.39%
8955 日本プライムリアルティ投資法人 6.29% 5.55%
8987 ジャパンエクセレント投資法人 6.09% 6.09%
8952 ジャパンリアルエステイト投資法人  5.67% 4.04%
3240 野村不動産レジデンシャル投資法人  5.46% 5.66%

悪材料を消化した形で森トラ、中規模オフィスへの懸念で売られていた大和証券オフィス、オリックス、エクセレントの戻しが顕著。あとはマーケットなりに日本リテール、JRE、JPRが堅調といったところ。NBFは11位です。

一方でワースト5は、主要テナントが退去したTOP、懸念のあるグローバルワンが軟調。東急、森ヒルズは7月決算銘柄なのでテクニカルな面もあると思います。

3234 森ヒルズリート投資法人 -2.35% 5.23%
8957 東急リアル・エステート投資法人 -2.54% 5.74%
8975 いちご不動産投資法人 -3.51% 6.68%
8958 グローバル・ワン不動産投資法人 -6.10% 5.19%
8982 トップリート投資法人 -11.06% 6.39%

で、オヌヌメ銘柄ですが、指数が1000pt間近まで来ていることを考えると利食いを考える時期と認識してますので、出遅れ銘柄、今週の決算落ち銘柄が対象になります。

他の銘柄紹介は明日以降、適宜アップいたします。

3269 アドバンス・レジデンス投資法人 156,300 156,600 0.19% 5.75% 172,260
伊藤忠系の住宅REIT。押し目待ちに押し目なしだが、オフィスが先行して上昇している分、住宅にもいずれ資金が流れ込む場面はあるはず。そこを一旦の利食いとするか、そのまま配当狙いでホールドし続けるか。今年の山場なような気がします。

8984 大和ハウス・レジデンシャル投資法人 549,000 561,000 2.19% 5.74% 90,060
大和ハウス系の住宅REIT。負ののれんもあるし、スポンサーのやる気も十分。賃貸マンションの繁忙期で稼働率は注目。心配していない。まだポートフォリオ改善を続けており、大手のこういう筋の通ったところは安心感あります。8月決算銘柄で、53万円くらいまでの調整を希望。希望で投資できるのが個人の強み。

8964 フロンティア不動産投資法人 639,000 657,000 2.82% 5.48% 149,468
三井不動産系の商業REIT。最近の取得目線が甘く、社長代わって良くも悪くも「らしさ」が消えつつある。そんなにブレるREITじゃないので、5.5%くらいの利回りで低ボラティリティ銘柄として狙うのはあり。

3279 アクティビア・プロパティーズ投資法人 461,000 464,500 0.76% 6.47% 95344
東急不動産をスポンサーとする商業/オフィスREIT。はっきり言ってオフィス物件は不安の種だが、商業は安定感抜群の良い物を持っている。45万円で拾いたいが、他の銘柄に比べるとかなり置いて行かれた感あり。低めのLTVで上場した分、何か仕込むことになると思う。下方リスクは限定的。

8958 グローバル・ワン不動産投資法人 492,000 462,000 -6.10% 5.19% 44,768
近・新・大を掲げる(ほぼ)独立系オフィスREIT。今年度に入ってから軟調だった株価は、7月からさらにボロボロ。インデックスを大きくアウトパフォームしている。シティグループが天王洲から出ていくということで、エリアの落ち込みが懸念されたのかもしれないが、それとは別に本当にここの主要テナントも出て行ってしまうのかも、と思わせる株価。

8987 ジャパンエクセレント投資法人 377,500 400,500 6.09% 6.09% 75,554
興和不動産系のオフィスREIT。決算が思いのほか良かった。テナントの分散が他のREITよりも効いてないが、安定するときは本当に安定している。1年くらいは大丈夫なんじゃないかと。それまでに興和不動産と新日鉄都市開発の合併も何か見えてるでしょう。

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